最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)2388 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
弁護人橋本順の上告趣意は、末尾の書面記載のとおりである。
同第一点について。
第一審裁判所が被告人の窃取したハンドバツク中に起訴状記載の現金の外パン購
入券八枚が在中する旨を認定したからといつて、これを訴因に記載なき事項につき
判断をなし被告人の防禦権を侵害した違法があるということはできない。けだし、
被告人が被害者某所有の現金在中のハンドバツク一個を窃取した旨起訴状に記載さ
れた以上罪となるべき事実はこれにより特定されて居り、そのハンドバツク中に右
現金の外価格の僅少な物が偶々在中したか否かは、何等右の如き公訴犯罪事実の特
定を妨げるものではないからである。従つて論旨は理由がない。
同第二点について。
憲法三七条一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」というのは、組織や構成にお
いて偏頗のおそれのない裁判所の裁判の意味であつて、具体的事件において判決に
訴訟法の解釈適用等に過誤ある裁判の如きを指称するものでないことは当裁判所の
判例とするところである(昭和二二年(れ)第四八号同二三年五月二六日大法廷判
決参照)。然るに論旨は、要するに第一審の訴訟手続の違背を云為するものであつ
て、右判例の趣旨に徴し憲法上の主張ということはできないから採用できない。
同第三点について。
論旨は量刑不当の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
その他記録を調べても同四一一条を適用すべき事由は認められない。
よつて、刑訴四〇八条、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり
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判決する。
昭和二七年三月二五日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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